私はこれまで25年以上、365日ほぼ毎日食べ歩き、
“おいしい“を探求してまいりました。
その中でたどり着いたのは、日本の食材がいかに貴重で、
まだ知られていない素晴らしいものが数多く存在するということ。
そのことを、皆様と分かち合いたいという思いでした。

素晴らしい料理人の方々との出会いはもちろん、
これまで多くの生産者の方々ともご縁をいただいてきました。
自然と共に生きながら、日々奮闘する生産者の方々。
味は確かでも流通に乗らない“規格外“の野菜、
木から落ちただけで価値を失ってしまう果実——
また、被災地・能登で、日々の暮らしと“食”を支えるために
懸命に営みを続けておられる多くの生産者の方々のお姿に、
胸を打たれることもありました。

私が皆様にお伝えしたいのは、
単にとっておきの逸品をご紹介することだけではありません。
“おいしい“にたどり着くまでの、作り手の想いと道のり。
その背景にある物語にも、ぜひ触れていただきたいのです。
私が愛する「食」の輪が、波紋のように、
皆様の心にも静かに広がっていきますように。